健康診断で血圧が高い? 開業医がすすめる対策と内服とは

医学・健康

 

健康診断で高血圧と診断されたことがありますか?

何年も前から血圧を放置していませんか。

お薬を飲む必要はないかもしれませんが、食事でできることもあります。

ぜひこの機会に自分の生活習慣を見直してみましよう。

 

目次

  • 高血圧症とは
  • 高血圧症の対策は
  • 高血圧症の内服
高血圧症とは

 

高血圧症の基準は上(収縮期血圧)が140mmHg(ミリマーキュリー)、

下(拡張期血圧)が90mmHgの、どちらかが超えていると高血圧症の診断となります。

年齢によって定義は異なりますが、

基本的には140 or 90 を超えているかが基準となります。

つまり、120/100mmHgでも、150/70mmHgでも高血圧症の診断となります。

 

高血圧症のこわさ

 

 

高血圧症と診断をされても、自覚症状がない場合がほとんどです。

それゆえ、薬をのみましょうといわれても抵抗がある方が多いです。

ただ、高血圧症のこわさはゆっくりと進行する血管障害になります。

 

全身を走っている血管はよくたとえられるのがゴムホースです。

実際私も解剖で見た人間の血管は弾力性ふくめてゴムホースのような触感でした。

 

それでは高血圧症の場合の血管というのはどうなるでしょうか。

水道のゴムホースも常に圧力がかかった状態だと、

固くなるのと同じように、慢性的に高血圧症が持続していた場合、動脈自体に圧力がかかるため動脈も固くなります。

これが動脈硬化というものです。

慢性的に血圧が高いことで、

血管内の血流速度も上昇し、血管の壁を傷つける状態が長く続きます。

血管壁がダメージを受け続けると、

血管壁が分厚くなってしまい、詰まったり、固くなったりします。

 

画像のようなボロボロの血管になるわけです。

 

ボロボロになった血管がどうなるかというと、

血管が破裂しやすくなったり、詰まりやすくなります。

 

高血圧が持続した場合、

血管の病気の場合だと脳出血、脳梗塞、大動脈解離を発症しやすくなります。

各臓器を養う血管の動脈硬化になった場合だと心臓であれば心筋梗塞、

腎臓であれば慢性腎不全(透析)を発症することになります。

 

高血圧症といっても、症状がないだけで時限爆弾のように病気が爆発するのを待っているわけです。

 

高血圧症の対策

 

 

それでは高血圧症と診断された場合、

どうすればよいでしょうか。

 

年齢や高血圧の程度(重症、160-80mmHg)によってはなるべく早期に治療介入が必要になります。

降圧剤内服です。

 

もし、若い方であれば、まずは減塩をおすすめします。

国のガイドラインでの1日の塩分摂取量は6gといわれています。

 

厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査の概要」によると、

2017年の日本人の1日塩分摂取量は、男性10.8g、女性9.1gと報告されました。

日本人は塩分を取りすぎているのが現実です。

 

若い方から中年の方などの食事を確認する限りは特に塩分を取りすぎているのは間違いありません。

週に2-3回ラーメンを食べたり、

朝ごはんにカップラーメンを食べたりする方も患者さんにはちらほらみられます。

 

ラーメン1杯で1日の塩分量を取っていることを認識する必要があります。

 

食品に含有される塩分量

 

ちなみに私は漬物や梅干しが健康のための食事だとは思っていません。

梅干しや漬物は嗜好品として食べるべきだと思っています。

おかずがすくなかったり、冷蔵保存する技術がなかった時代の保存食品であり、

いま改めて健康のために梅干しや漬物を取る必要はないと思っています。

食べることでの害の方が多い食品だと思われます。

 

健康維持のために漬物を食べることは間違いです。

減塩をすることで血圧自体は10-20mmHg程度さがります。

 

もし健康診断で、高血圧症と診断されたなら、まずは減塩を意識してください。

たとえ、内服が始まったとしても、高血圧症治療の一番の根幹は減塩です。

 

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[st-cmemo fontawesome=”fa-exclamation-circle” iconcolor=”#ef5350″ bgcolor=”#ffebee” color=”#000000″ iconsize=”200″] 降圧治療はとにかく減塩! [/st-cmemo]

 

高血圧症の内服薬

 

高血圧症の治療薬としては、

一般的に使用されているものはカルシウム拮抗薬、ARB阻害薬が中心となります。

ほかにもACE阻害薬やβ遮断薬、利尿剤などがありますが、

降圧剤を3種類以上飲むような場合はかなり専門的な検査、治療が必要となるかたです。

 

今回はあくまで一般的な高血圧症の内服について説明したいと思います。

 

降圧治療の貢献度

こちらは日本全国の医師の降圧治療についての貢献度を5点満点で評価した表になります。

4点以上超えているのは

カルシウム拮抗薬と、ARB阻害薬の2つになります。

 

実際、日本の降圧治療はこの2種類の薬で行われているのがほとんどです。


カルシウム拮抗薬とは

カルシウム拮抗薬とは

血管の平滑筋にあるカルシウムチャネルの機能を阻害することで

血管を拡張させる作用がある降圧薬になります。

縮んで固くなった血管を広げて柔らかくすることで血圧を下げるイメージです。

 

副作用はいろいろありますが、頭の血管も拡張させるので頭痛を訴える方も多いです。

またカルシム拮抗薬はグレープフルーツを摂取すると効果が強まるのでダメといわれています。

グレープフルーツのフラノクマリンとよばれる化合物が小腸に作用して、

カルシウム拮抗薬が吸収されず、

血液中の濃度が高まり降圧作用が強まるためです。

 

グレープフルーツ単体やグレープフルーツジュース、酎ハイもダメです。

ぽんかん、いよかん、甘夏みかんもダメといわれています。

 

みなさんもぜひ気を付けてください。

ARB阻害薬とは

もう一つの降圧剤のかなめであるARB阻害薬です。

正式名称はアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬です。

アンギオテンシンⅡは血圧を管理するレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系という回路で産生されるホルモン物質になります。

 

アンギオテンシンⅡの役割はいろいろありますが、

血圧を上昇させる作用があります。

それを阻害するので、結果的には血圧を下げることになります。

 

カルシウ拮抗薬、ARB阻害薬、この2種類が基本的な降圧薬となります。

 

どちらが良いということはありませんが、

Ca拮抗薬のほうが第1選択、よりマイルドな印象です。

降圧を強化する場合、

1種類を強くするよりは降圧剤を併用したほうが効果的なため(作用機序が異なるため)

Ca拮抗薬で改善がなければ、ARB阻害薬を追加する手法が良く使われます。

 


高血圧症とは・・・・・・

      自覚症状は出現しないが、動脈硬化が確実に進行する病気。

 

基本治療は減塩が一番大事。

 

内服でよく使用されるのはカルシウム拮抗薬、ARB阻害薬が中心。

健康で一番大事なのは病気の予防です。

病院を受診しないことが健康であるのは間違っています。

自身の健康維持のために病院を受診することも大事です。

がんを予防するのは難しいですが、

高血圧症は自分の食事、生活スタイルをみなおすだけで防げることができる病気です。

健康診断で高血圧症の診断がついたら、

まずは自分の食習慣を見直してみましょう。

 

  

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